ムルギは鶏ぢゃんよー
午後、サクッとカレーでも食べようと暑いなかすぐに帰ってくるつもりで出かけた。ついたところは東銀座のナイルレストラン。まえから試してみようと思っていたのだけど、行かずじまいだったカレー屋。お昼の混雑はとうに過ぎていて、すぐに冷房のガンガンに効いた2階に案内される。名物のムルギランチを頼んだんだけど、どういったものが出てくるか未知の世界だったので、ちょっとそわそわした。チキン、マッシュポテト、ゆでたキャベツが盛り合わせになって、ターメリックライスとともにカレーのソースがかかっている「ムルギランチ」なるものが出てきたとき、一緒にいた人が「このポテトがム、野菜がル、ゴハンがギなんだよ。思いっきりまぜて食べないと怒られるからね」と云ったので、ふぅーん、そうなんだとすっかり信じ込んで感心したのはつかの間、誰もまぜて食べてなどいないし、まぜて食べろと怒る店員もいないので、「あ、まぜるのやめた」と云って、飢えた子供のように食べ始めた。……いや、おいしいです、絶品ですぅ。実家はカレー奉行*1がいて、ロンドンのインド人街に行っては、ひとつふたつとスパイスを買い集め、スパイス棚というものが嫌がらせのように狭いキッチンにあったのだけど、そのスパイスやら秘密のなにかが入ったような味だった*2。鶏肉がたんに煮込んだだけじゃなく、なんだかんだと大法螺を吹いてムルギの説明をした人も、これ一回スモークしてんじゃね？ という意見には同意してくれたが「鶏がね、サクラとかヒッコリーとか吸ってんだよ」とタバコでも吸ってるかのような不健康さを漂わせることを云っていた。ともあれ、おいしかった。また行きたい
