十八番

K部さんの死にそうなプロジェクトで今度は死なないようにしようという軽いキックオフじみたミーティングがあった。去年の轍はけっして踏むまい――そう誓ったのは自分の髪の毛が無茶苦茶なスケジューリングの恐怖のあまり、どんどん白髪化してゆく様を鏡の前で確認したことを昨日のことのように思い出す。途中、話柄は取材の失敗談におよび、K部さんがカラオケで飲みすぎ歌いすぎて取材に寝坊してジィジが尻拭いをしたという話になった。なに? そんなことがあったのか。「いやあ、あの日は地元のジジババとくらーいカラオケ屋で歌っちゃったよ」とシャーシャーと抜かすので「K部さんのカラオケの十八番ってなに?」と水を向けると「一緒にいたおいどん*1が『時には娼婦のように』でボクは『よろしく哀愁』だね」と聞いて吹き出した。聞かなきゃよかったような気がした。最後に「今度カラオケ行こうよ〜」と誘われたが聞こえないフリをした。一緒に同席していたU御大が、会議の終りにボソッと「なんかこの感覚ひさしぶり」と云ったので「ああ、これがずーっと半年ばかり続くんですよ(ゲンナリ)」と申し上げた次第です

*1:編集者です