ぼくたちの失敗

会社帰りに池袋へ。同行者がなじみの鍼灸師のところに行く間、わたしはムクんだ脚の疲れをとりに足裏マッサージへ。なんかこんなんばっかですが。ぶらりと入ったマッサージ屋はビルの地下1階でドアはなくすぐに店だった。地下に入ったときにふんわりと鼻先を流れた異臭を嗅ぎ取る間もなく階段を最後まで降りた瞬間ニンニク臭で満たされていた。「いらっしゃいましぇえ」と店員の2重にハモった声が出迎えたときには時すでに遅く、引き返せない雰囲気だった。そのうえ強烈なニンニク臭は店員から発せられていたことに気づく。4畳半ばかりの店内は敷居もカーテンもなくリクライニングシートが2つとベッド1つがぽつんと置いてあった。単なる待合所だろうと思ったらいきなりリクライニングシートが倒されてマッサージが始まる。マッサージはなぜかツボをビミョーにハズすという稀なもので、片足が終わると店員同士のおしゃべりが声高になり薄目をあけて見ると狭い店内に店員が5人に増えていた。もちろん日本語は聞こえてこない。どこだココは? およそ3分の1は足裏マッサージの醍醐味であるツボの刺激からはほど遠くテクニックをまったく要さないものばかりで、どうにか所用時間を埋めるべく脚を振られたり叩かれたりして終了。シートから立ち上がろうとしたときに異臭が鼻をつんざき消臭スプレーを噴霧された……わたしは聞き逃しませんでしたよ、店員の一人がこともあろうに狭い店内でオナラをした音を。もう最後は消臭スプレーとオナラの臭いがブレンドされて得も云われぬ中、息を止めて逃げ出すように店を出てきた。その後、待ち合わせていた同行者と会うと鍼灸師のところに行ったものの「ぜんぜんちがう治療院」だったことが判明し、とりあえず問診だけして帰ってきたという。「だってさ、右半身腐ってて内分泌系がダメだ、漢方なら3カ月くらい続けるとよくなるから1万5千円から処方してやろうなんて云われてごらんよ」ということだった。しかし、今かえって脚がダルいのはなぜかしら……