シナジー効果

高校生のころ、わたしは日本史部に所属していた。史跡をめぐり日本史の理解を深めるなんていうたいそうな名目だったが、その実態は「鈍行列車に乗って旅する」ことが部活動だった。たいていは2泊3日で旅の日程を組むので、春休みと夏休みの年に2度しか部活動がない。青春18キップでどこまで「名目」を成し遂げられるかやってみよう、というノリだった。
数年前、そのノリで金沢旅行26時間かけて行く旅を計画してみたが、行って帰ってくるだけで26時間って、なにを観光するというの? 土日で?? という理由で挫折した。この週末に金沢リベンジではないが、ちょっとした旅に出た。行き先では地面から立ち上ってくる底冷えに震え、完璧に防寒をしたのにもかかわらず、首筋から外気がスースー入ってきてまさにネック。旅先ではその土地のものを食べる楽しみもあるが、店に入ったのは閉店間近でなんとなく「さっさと店じまいしたい」という空気に少しばかり早食いになってしまった。本来は器や盛り付けを愛でて味わうはずが、矢継ぎ早に胃の腑に落とす。牛筋が信じがたい噛み切れなさを発揮したとき割り切れなさを感じたが、この出汁は、この澄み切った出汁は……そうそう、これはママンの手料理の味だと気づいた。国内旅行もいいね、味のルーツも知ることができそうだし。ちなみにわたしは歴史の登場人物の漢字を覚えられるか不安という理由だけで世界史を選択したんだけど(かなりダメ)